Share at:
RPAによるユーザーインターフェース(UI)を利用したアプリケーション操作の自動化では、レイアウトの変更などインターフェースの変更により処理が停止することがあります。UiPath Healing Agent は、自動化の実行時に発生するエラーの要因を分析し、最適な回復戦略を自動適用することで、ダウンタイムと保守工数を抑え、日本企業の現場で求められる「止まらない」自動化を実現します。
ユーザーアプリケーション、特にクラウドサービスとして提供されるアプリケーションは絶えず進化を続けており、ラベル名の変更、ボタン位置の移動、メンテナンス等のポップアップの表示などによる変更が生じています。人にとっては些細な変更だとしても、正確な画面上のオブジェクトの特定が重要となるUIの自動化においては、処理が停止する深刻なエラーにつながることがあります。エラーを解決するまで業務が停止することによるビジネスへの影響、原因の特定や修正に対してエンジニアのリソースが割り当てられることによる新規開発の遅れ、こうした形で自動化プロジェクトにおけるコストが発生します。
Healing AgentはUI自動化のエラーをリアルタイムに分析し、AIと回復戦略を組み合わせた高度なセルフヒーリング手法により対処を自動的に実施することで、処理の継続を可能とする“自己修復“機能です。 このエージェントはエラーが発生した瞬間にUI要素やアプリケーションの状態をリアルタイムで分析します。どのようなエラーが発生したのか、なぜエラーが発生したのか、代替手段としてどのような方法がとれるのかを分析します。 また、高度な回復戦略により、例えばセレクタによる要素の特定が失敗した場合にも同じ方法を単純に再試行するのではなく、現在のUIの状態を分析して本来の意図に合致する代替要素を特定し、最も適切な選択肢を利用するように自動化を動的に更新します。
Healing Agentでは「Healing Agent の自己修復を有効化」のパラメータ設定により、自己修復の実施の有無を変更した2つのモードで活用を行うことができます。
Healing Agent の自己修復を有効化 - ON: Healing Agentが自動で修正を適用することで自動化の実行を継続し、業務継続性を実現します。
Healing Agent の自己修復を有効化 - OFF: エラーに関する詳細情報を記録し、開発者が判断を行い適用が可能な具体的な修正案を提示することで、保守コストを下げつつエラーの再発を防止します。
こうした自己修復の中では、UI要素が見た目ではなく意味として変化した場合も認識して対応が可能です。例えばラベル「姓」から「お名前(姓)」に変わっても、両者が同じ概念を表すことを理解し、調整を行います。
Healing Agentの自己修復時には、複数の回復戦略を同時に評価し、エラーの具体的な状況から最適な回復戦略を選択して適用を行います。以下は回復戦略の例になります。
新しいセレクタの生成: 要素の属性が変化した場合、Healing Agent は現在の UI 構造を分析し、新しい要素プロパティに適応しつつ、同じターゲット意図を維持する新しいセレクタを生成します。
セマンティック ターゲット:ラベルや説明文の表現(意味)が変わっても、機能的な目的が同じである場合にそれを自然言語処理で理解します 。
Computer Visionへのフォールバック:従来のセレクタ方式が失敗した場合、開発時に取得したスクリーンショットを用いた画像ベース認識に切り替えます。
動的なタイミングの調整:アクティビティでは、アクションを実行できるようになるまでに長時間を要することがあります。このような状況で、Healing Agent はどのくらい待つべきかを認識しているほか、必要に応じて修正を提案します。
Healing Agentの利用のメリットはエラー発生時の復旧だけではなく、プロジェクトにおける自動化の設計・展開・保守の方法そのものを変えていくことができます。
自動化設計: あらゆるUI変化を事前に想定した開発を行う必要がなくなり、開発者は業務ロジックに集中して開発を行うことができる。予期しないUIの変化はHealing Agentが修復を実行。
早期の自動化導入:自動化への投資効果が保守負担に負けないという確信が持てます。アプリ開発サイクルの早い段階から自動化を開始した場合にも、UI の変更ですぐに自動化が壊れる心配が減ります。
スケーラビリティの向上:保守キャパシティの制約に縛られにくくなります。より多くのプロセスに自動化を展開した場合にも、保守やサポート要求が比例的に増加することを防ぎます。
リスク低減:自動化の信頼性が高まり、これに依存する業務プロセスの中断が減少。サービスレベルの向上と運用リスクの低減につながります。
Healing Agentの有用性の1つは、既存の自動化資産、つまり開発済みのUiPathの自動化ワークフローとシームレスに統合が行えることです。Healing Agentの利用のために自動化ワークフローを開発し直す必要はありません。 バージョンの制約に該当した場合にも、後方互換性により最小限の変更によりHealing Agentの適用が可能です。既存のUiPathプロジェクトに対して、UI Automation Activitiesパッケージの更新を行い、Healing Agentを有効化することで動作させることができます。
Healing Agent が自動で修正を適用して処理を継続するのか、修正案の提案にとどめるのかの設定が行えるため、組織のリスク許容の判断やコンプライアンス要件に合わせた活用が可能です。
UiPath Insightsにより自己修復の実行状況の可視化によるモニタリングと分析が可能です。自己修復の成功率を把握し、エラーのパターンを特定し、実運用のパフォーマンスデータに基づいて自動化設計の最適化を行うことができます。
Healing Agentの自己修復機能の活用によって自動化の計画や実装の方法を進化させることができ、強力で安定した自動化の実現が可能になります。自動化プロジェクトの全社的な拡大を推進している組織にとって、Healing Agentによる自己修復技術の適用は、従来の保守コストの改善を行い、自動化の真の可能性を追求していくことを可能としていきます。
Enterpriseプランをご利用いただいておりHealing Agentをまだ利用してない場合には、60日間の無料トライアルを利用することができます。是非トライアルをお試しください。
Automation Cloudの [管理] - [ライセンス] - [無料トライアル] よりHealing Agentのトライアルを開始してください。詳しくは「サービスの無料トライアルをリクエストする」をご参照ください。
以下よりHealing Agentに関連した設定方法、ユースケース、デモ動画、ライセンス、制限事項などの詳細な情報にアクセスすることができます。
Director, Product Marketing, UiPath
Success Message!!