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自治体DXの新章へ!「第8回 UiPath 自治体ユーザー会」開催レポート

自治体DXの新章へ!「第8回 UiPath 自治体ユーザー会」開催レポート

労働人口減少時代に立ち向かう自治体のリアル

EXPO2025大阪・関西万博で盛り上がる大阪にて、2025年7月11日大阪・梅田スカイビルにて「第8回 UiPath 自治体ユーザー会」が開催されました。現地には自治体職員を中心に来場し、急遽参加となったリモートでの自治体職員も含め地方行政における業務効率化と住民サービス向上をテーマに、熱量ある議論と情報交換が繰り広げられました。本会は、UiPathが主催する自治体向けユーザー会であり、全国の先進事例や技術トレンドを共有することを目的に定期開催されています。今回は、別府市や塩尻市などの先進事例の紹介に加え、日本電気(NEC)、京都電子計算、NECソリューションイノベータ、北見コンピューター・ビジネス各社による最新ソリューション紹介、そしてUiPathの最新技術セッションまで幅広い内容で構成されました。

【第1部】 自治体ユーザーによる先進事例の共有

別府市:内製力とAIエージェントで拓く、別府市のRPA×DX最前線

別府市 浜崎氏

トップバッターは、大分県別府市でRPA推進の中心的役割を担ってきた浜崎氏による講演です。 大分県別府市は、2018年にRPAを試行導入して以来、累計161本のシナリオを作成し、うち121本が現在も稼働中。累計で6,655時間の業務削減を達成するなど、地方自治体として先進的な成果を上げている。中でも注目すべきは、85%以上のシナリオを職員による内製で構築している点だ。導入初期から業務フローの可視化、効果測定、ルール整備に丁寧に取り組み、職員間でスキルと意識を共有してきたことが、この内製化と持続的展開を可能にしている。

さらに今回の講演では、UiPathのAIエージェント機能を活用したチャットボット運用の自動化試行についても紹介。市のWebサイト情報の更新チェックから、変更通知、データ比較、修正判断といった一連の業務にRPAとAIを組み合わせたプロトタイプを構築したという。現時点では職員による最終判断を残す設計だが、今後はAIが自律的に変更判断・反映まで担うことも視野に入れており、「考えるAI×動かすRPA」による業務革新が進行中である。浜崎氏は「委託では経験が残らない。自分たちで試行し、改善し、学ぶことで本当のDXが進む」と述べ、今後も自治体自らがデジタル変革の担い手となるべきだと強調した。

別府市:内製力とAIエージェントで拓く、別府市のRPA×DX最前線

塩尻市:「書かない窓口」から「どこかに申請」へ──塩尻市が描く窓口DXの進化形

塩尻市 横山氏

長野県塩尻市からは、デジタル戦略課長の横山氏が登壇。長野県塩尻市は、人口6万人規模ながら16のワイナリーを擁する地域特性を活かしつつ、住民サービスの向上を目指した窓口DXに挑戦している。講演では「書かない窓口」導入を中心とした3年間の取り組みが紹介された。窓口DXの起点は市民課からの「もっと住民を楽にできないか」という相談だった。デジタル戦略課と連携し、企画課や地域情報化アドバイザーを巻き込んで、全庁19課による推進チームを組成。業務整理やBPRを経て、令和6年1月に新システムが稼働した。特徴的なのは職員による“窓口体験調査”。市民になりきって実際の転入手続きを行い、待ち時間や視線、書類の多さなどを体感し、改善点を洗い出した。このプロセスを通じ、開発(Dev)と運用(Ops)を一体で設計する“DevOps型”の導入が功を奏したという。

塩尻市

さらに「おくやみサポート」や「送付先ワンストップ」など、システムを活かしたサービス拡充も進行中。予約・事前確認・RPA連携を組み合わせ、90分で完結するワンストップ支援を実現。今後は「どこかに申請すれば、すべての部署に反映される仕組み」を構想しており、UiPathのRPAがその要となる。横山課長は「行政を一つのデータプールとして活用し、サイロ型を超えてサービスに変換する発想が必要」と述べ、未来の自治体像とUiPathへの期待を語った。

【第2部】 パートナー企業による自治体DXソリューションの紹介

日本電気株式会社:NEC × UiPathによる「提携業務改革サービス」で加速する自治体DX

日本電気株式会社:NEC × UiPathによる「提携業務改革サービス」で加速する自治体DX

NECは、標準化以降の自治体業務に向けた“提携業務改革サービス”をUiPathと連携して展開。長年の基幹系運用実績と、UiPathの堅牢なオブジェクト認識技術を融合し、制度改正や画面変更にも強い「環境変化に耐える自動化基盤」を実現している。サービスは、①端末・システムログによる業務可視化、②改善領域の特定とUiPathシナリオ提供、③自治体間で共有可能なテンプレート整備、④生成AI活用による次世代業務改革、の4ステップをワンストップで提供。現在すでに20以上のシナリオを提供し、さらなる共創で拡充中。導入事例では、税業務などで年間11,000時間超・約2,300万円の削減効果を提示。NECは、2030年に向けた「自治体・住民・事業者がつながるまちづくり」を見据え、RPAだけでなく住民ポータルや福祉DXなどと連携した持続可能な自治体運営を支援する姿勢を強調した。

京都電子計算株式会社×NECソリューションイノベータ株式会社:RPA配信と共通テンプレートで加速する自治体の業務標準化と自動化

京都電子計算株式会社×NECソリューションイノベータ株式会社:RPA配信と共通テンプレートで加速する自治体の業務標準化と自動化

京都電子計算とNECソリューションイノベータは、住民情報システムに特化した「RPAオートメーションテンプレート」を共同開発し、2025年5月にリリースした。京都電子計算はUiPathと連携し、自治体がオーケストレーターを自前で持たずとも、安全・簡便にRPAを活用できるLGWAN対応クラウド型配信サービスを以前より提供している。本テンプレートは、標準化対応の「CoKAS-R4G」などを対象に、国保・税務・介護分野で即利用可能なUiPathシナリオを整備。これにより、RPA内製化が困難な自治体でも軽微な調整のみで導入可能となり、開発工数・コストの大幅な削減が期待できる。また、NECソリューションイノベータは、UiPathの黎明期からの知見をもとに、自治体職員への伴走型支援(家庭教師型ハンズオン)も展開。テンプレートに加えて、育成・運用ルール策定・課題解決まで一体支援を行う。両社は今後も全国の自治体に向けて、同テンプレートを順次拡張。RPAの横展開による「標準化後の自動化基盤」の構築を目指す。UiPathとの協業により、持続可能な自治体運営と効率的な業務改革が実現することが強調された。

株式会社北見コンピュータビジネス:「書かない窓口」の全国展開とUiPathによる業務効率化支援 〜KCBの自治体DXモデル〜

株式会社北見コンピュータビジネス:「書かない窓口」の全国展開とUiPathによる業務効率化支援 〜KCBの自治体DXモデル〜

北見コンピュータビジネス(KCB)は、北海道北見市との共同開発により、住民の手書き負担を削減する「書かない窓口」システムを2016年に実装。その後、埼玉県深谷市での導入を機に、RPAとの連携機能を強化し、全国に普及が加速した。現在では57自治体で導入、うち44団体が「窓口DX as a Service」を採用している。同システムでは、住民情報のヒアリングから証明書発行・住民異動・国保届出などの一連業務を統合的に処理。UiPathとの連携により、住民票や印鑑証明などの自動発行、仮登録の自動入力が可能となり、庁内負担を大幅に軽減している。RPA端末は本庁に集約し、出張所などからの処理をリモート実行する仕組みも整備。住民手続の一部は職員による判断が必要なため、イレギュラー対応も考慮したRPAシナリオ開発を推進している点が特長である。シナリオ開発では業務知識を有する職員の協力が不可欠とし、開発ベンダーと職員が密に連携する“共創型モデル”を構築。UiPathの高い柔軟性と拡張性を活かし、段階的な自動化を実現している。

【第3部】UiPath最新テクノロジーとAIエージェントの展望

UiPath 桜井:「自治体の業務改革を加速するAIエージェントの実力」

UiPathは、AIエージェントを「仕事を任せられる同僚」として定義。従来のRPAが決まった手順をこなす「新人君」だとすれば、AIエージェントはノウハウを持ったベテラン職員のような存在。判断・推論・実行が可能で、業務を“まるごと”任せられるのが特徴です。AIチャットボットが「調べて回答する」だけに留まるのに対し、AIエージェントは「調査・判断・操作」まで実行可能。例としてプリンタの障害対応では、担当者の代わりに設定診断・再起動を自動で行うことが可能です。講演では、自治体でも馴染みのある業務(経費精算、契約書チェック、発注書との突合など)をAIエージェントが実行するデモを紹介。従来のRPAでは困難だったルール例外や判断の伴う業務にも対応可能であることを強調しました。AIエージェントは、ノーコードで自然言語から設計可能な「エージェントビルダー」で作成。職員が「やってほしい仕事」をそのまま日本語で書くだけで、プロンプトが生成・調整され、業務フローに即した実行が可能になります。複数の大規模言語モデル(LLM)から最適なAIを選択可能で、各自治体の業務に最適なエージェントを構築可能。プロンプト改善・評価・再訓練も簡易に行えます。最後に、「市民サービスの質向上」「窓口職員の負荷軽減」「人的リソースの再配分」を実現するツールとして、別府市との実証を紹介。他自治体の参加と実装相談を強く呼びかけました。

UiPath 梶尾:「行動するAI」で、人口減少時代の自治体運営に挑む

UiPath 梶尾:「行動するAI」で、人口減少時代の自治体運営に挑む

UiPathは、自治体の将来を左右する“人口減少”という社会課題に対し、「AIで業務を置き換えるのではなく、自治体と共に“行動するAI”を育てたい」と強く訴えました。講演では、オンプレ環境でも活用可能なRPAに加え、今後はLGWANやぴったりサービスとの連携も視野に入れたAIエージェント提供を計画していることを表明。現在、ISMAP取得に向けたプロジェクトも進行中です。また、窓口業務・空き家管理・防災・定住支援・地域活性化など、職員の現場感覚に寄り添った具体的なユースケースを多数提示。AIエージェントを使えば“できること”が、自治体にとって“やりたかったこと”になる──そんな未来像を語りました。「効果が見えるプロトタイプから一緒に始めませんか?」という呼びかけが、自治体職員の心に響く締めくくりとなりました。

最後に:自治体DXの「次の一手」は、共創による“行動するAI”から

大阪で開催された第8回UiPath自治体ユーザー会は、大阪だけでなく遠方からの自治体職員もベンダーが集まり、まさに“現場の熱量”が可視化されたユーザ会となりました。別府市、塩尻市、NECなどからの講演では、導入済み自治体が自らの失敗や工夫を赤裸々に共有し、参加者の共感と具体的な検討意欲を引き出しました。参加後アンケートでは”満足度100%”を記録。「現場目線のリアルな話が聞けた」「すぐにでも相談したい」といった声が多く寄せられ、単なる製品紹介に留まらない“自治体同士が刺激し合う場”としての価値が示されました。

人口減少対応ソリューション

UiPathからは、従来のRPAからさらに進化した「AIエージェントとの協奏による自治体業務自動化」の構想が提示されました。ただの“調べるAI”ではなく、“判断し、行動し、業務を遂行するAI”を、現場に寄り添いながら実装していくという強いメッセージは、多くの自治体に新たな希望をもたらしました。重要なのは、この“行動するAI”はUiPathだけでは完成しないということです。自治体の皆様の熱意、現場の知見、実装への協力があってこそ、真に役立つAIエージェントが生まれます。UiPathはこれまでも、そしてこれからも自治体に伴走し続けます。一方、海外ではすでに公共部門におけるAI・RPAの先進的な活用が進んでいます。例えば、英国・米国・オーストラリアなどでは、税務、社会保障、災害対応に至るまで幅広い領域でAIと自動化の融合による成果が可視化されています。 (https://www.uipath.com/ja/solutions/industry/public-sector-automation

このような海外事例に追いつき、あるいは追い越していくには、「今、動き出すこと」が極めて重要です。早期に実装を始めた自治体こそが、住民サービスの質・職員の働きやすさ・地域の魅力を高める先進自治体として認識されていくのです。 UiPathは、AIエージェントとロボットの“協奏”による次世代自治体の実現に向け、自治体の皆様とともに歩み続けます。共に第一歩を踏み出しませんか?

Daisuke Murakami
Daisuke Murakami

Enterprise Sales Executive, UiPath

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