現在、様々な企業が組織のあらゆる側面を近代化・最適化し、効率性の向上、コストの削減、顧客体験の向上を図るためにデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいます。企業がますます技術に精通し、競争力を増すにつれ、DXの必要性はより高まる一方です。しかし、実際にDXを推進できている日本企業は2021年の総務省の調査によると約56%に留まっています。日本企業のDXプロジェクトの推進のために、組織おいてどのようなイノベーションが必要なのでしょうか。この記事では経営層・総務部門・営業部門の3部門における解決策を探ります。
まず第一に、経営陣のDXに対するビジョンや経営戦略が不足しているために、DXが進まない場合があります。経営陣がDXに対して十分に理解していないため、DX推進に向けた業務システムの刷新や思い切った設備投資などに踏み切れず、停滞してしまう場合があるのです。そのためまずは、デジタル化または自動化によるプロセスの改善に焦点を当てた戦略・目標・目的の設定が肝要です。そのためには、経営陣がDXによって自動化または簡略化できる業務を洗い出し、方針を確定させる必要があります。また、経営陣が頻繁に直面する問題として、プロジェクトを推進するために必要なスキルセットを持つ人材が不足している事態もあげられます。特に古くからのレガシーシステムに頼っている企業では社内でDX人材を確保できないケースが多く見受けられます。このような状況を解決するには、DXに対する人事部の関与を促し、ハードウェアやアプリケーションを運用管理できるようにするための社内研修や、DXに詳しいエンジニアの採用などを行う必要がります。
総務部の業務は2020年のコロナ禍以降、リモートワーク化が進む中で、特にデジタル化が急速に発達した業務に1つであり、書類の管理や備蓄品の管理など、あらゆる事務作業がデジタル化されました。総務部の業務のDXにあたっての最大の壁は、業務の専門性からデジタル化の方向性がわからないことです。この課題を解決するために、給与計算、請求書発行、文書保管など、部内の主要な業務とプロセスをすべて洗い出し、各プロセスがどのように機能しているのか、どのプロセスがデジタル化の可能性が高いのかを完全に把握することがDXへの第一歩となります。また、既存のワークフローの変更は、長期的には会社組織全体にメリットがある施策であっても、導入時には混乱を招く懸念もあり、工数の面などからも従業員からの反発を買うこともあります。これらを最小限に抑えるため、自動化されたプロセスを徐々に導入し、影響を受けるスタッフにはオンラインでのトレーニング機会を提供するなど、いくつかの戦略を立てる必要があります。ワークフローの変更に伴う不安を軽減し、従業員からのフィードバックを考慮しつつ、混乱を抑えながらDXを推進していくことが重要です。
最後に、営業部門におけるDXについてです。昨今の営業は、顧客データの分析を活かした販促や、日時に関係なく行えるオンライン営業などの導入により、コストや時間の削減が重要になっています。そこで、データや情報システムを一元管理するツールを活用し、業務の効率化を可能とするDX営業に注目が集まっています。しかし、現実的には経営陣が導入したツールが現場の営業チームの需要とマッチしない、経営陣と営業それぞれの目的意識が統一できていないなど、経営層と現場の認識のギャップが原因となりDXお推進が滞ることも少なくありません。この認識の齟齬を埋めるためには、組織的な整備が必要です。DX推進リーダーとして役職の設置のほか、営業チームのメンバーが、批判や反発を恐れずに創造的な解決策を提案できるよう、部署内の信頼関係を強化することも必要です。こういった取り組みを通じて、営業部門のメンバーも、経営陣のDXに対するビジョンと、その変化が自分たちにもたらすであろうメリットを理解することができるのです。
ここまで日本でDXが進まない理由と解決策を、経営層、総務部門、営業部門の3つの部門を例に紹介させていただきました。これらはあくまでも課題と解決策の一例であり、より複雑なケースや解決の難しい課題も数多くあります。そういった問題も含め、より具体的な解決策につきましては、ホワイトペーパー(無料)にてお届けいたします。ぜひご覧ください。
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