年に一度の、UiPathユーザーコミュニティ最大の自動化ノウハウ共有の祭典「UiPath Friends Festival 2021」(通称 UiFes)が10月30日(土)に開催されました。今年は東京と大阪の2つのオフィスとオンラインでのハイブリッド中継。全国から多くのUiPathユーザーが参加されました。
今年度のテーマは「未来につなげ!今年も豊作!!自動化ノウハウ大収穫祭」。UiPathユーザーの学びと成長を一気に加速し、自動化ノウハウの共有を推進し、共に学び合う自動化仲間を見つけられる、そんな企画をUiPathユーザー有志の運営メンバーたちが創り上げました。11時から20時30分まで約10時間に渡るイベントから一部を抜粋して、参加者の熱い想いと共にご紹介します。
UiPathのトレーナーを務めるメンバーによるパネルディスカッションでは、どんぺりさん、れごさん、ロボティク子さん、チーフさん、よしやんさんの5名が登壇。トレーナーならではの苦労や工夫など普段はなかなか聞けない話を紹介していただきました。
「トレーナーは母数が少なく意外と孤独。教え方に正解はないけれど、このセッションが何かのきっかけになればと思う」という、どんぺりさんの言葉でスタート。3つのテーマで語り合いました。
「よく受講中に、何の話、どの作業をしていたっけと迷子になってしまう経験は多いと思います」と、よしやんさん。「大切なのは全体の中の、どの部分の作業なのか。なぜこの作業は必要なのか。テキストにない“行間”にあたる部分を言葉で伝えて理解してもらうことが大切です。設定の意義もしっかり伝えましょう。設定やプロパティに問題があり上手くいかないケースはけっこう多いです。初めて講師をする場合は緊張して当然。まずは目標となる講師を見つけて真似から始めるのがお勧めです」と語りました。
効果的だった事例としてチーフさんが紹介してくださったのは、ドキュメントの作り方について。「ドキュメント作りは難しくて面倒。さらにゴールがどこかわかりづらいため課題に感じている方は多いです。そこで常に第3者視点でチェックすることを勧めています。例えば、自分の親しい同僚に見てもらう、もしくは自分以外の誰かが作成したものとして客観的視点で自らチェックすると重要なポイントに気づきやすいです」と解説。また、れごさんは「自分でやりたい気持ちが高まってきた人にはUiPathの『逆引きTips集』を参考にするようお勧めしています」と紹介してくださいました。
初心者対象の研修が多いロボティク子さん曰く、「初心者はExcelの関数など意外な初歩的ステップでつまずきます。講師自身も自分が初心者だった頃を忘れずに進行するのが大切です。また物理的な環境面で、画面の切り替えを少なくするなど、受講者のストレスを軽減するよう意識しています」。トレーナー全員が賛同したのは「伝えたい情報がたくさんあっても、あまり詰め込み過ぎないこと。受講者の許容量をあふれ、結果的に満足度が低くなってしまう」から。「講師の説明に対して必ず意見を聞きながら、双方向で進めていく大切さ」を強調しました。
最後に最強の教育体制を実現するための各トレーナーの考えを紹介します。
れごさん「上級者への第一歩は『逆引きTips集』の使いこなし」
よしやんさん「社内開発者の輪を拡げていく」
チーフさん「受講者が『自分事』として捉えられる工夫を凝らす」
ロボティク子さん「大変なことだけでなく業務効率化の楽しさを伝える」
どんぺりさん「研修の主役は受講者」
今回のディスカッションの内容は、ほんの一部です。皆さまの考える最強のアイデアやいろんなご意見をぜひいただきたい。トレーナーの方々のコミュニティ参加をお待ちしています!
基調講演には、たいどんさん、Wackyさん、kinさん、よしやんさんの4名が登壇。UiPath Friendsの成り立ちや概要、目指す未来について語りました。
一人目のたいどんさんは、まずUiPath Friendsのビジョンは「ユーザーが中心となって、とことん楽しむことにより企業と一緒に成長できるコミュニティ」を紹介。「ビジョンの実現のために、もくもく会、ハンズオン、LT大会、ディスカッション大会、YouTube配信などさまざまな活動をしています。コミュニティ登録者は今朝の段階で1,700名を超えました。エンジニアが多いですが、市民開発者、RPA推進者、勉強中の方、UiPath社員、他社ツールを使っている方などもいて、全国各地から参加しています」。たいどんさん曰く、「コミュニティの参加者はそれぞれに目的とそこに至るジャーニーを持っている。目的地は各々違っても、そのジャーニーの中でUiPathに出会ったひと、皆がUiPath Friends」だといいます。
続いて登壇したWackyさんは、コミュニティの歩き方として「コミュニティロードマップ作り」をお勧め。「まずは今、自分は何に悩み、何を求めているのかを明確にしましょう。成長したいのか、新発見やさらなる探求を求めているか。もしくはアイデアを求めているのか」。なぜならWackyさんは悩みこそが目標になるからだといいます。「目標を定めたら、次は自分の現在地を明確にして、ロードマップを描いてみる。次に、ロードマップに合うイベントにどんどん参加してみてください。楽しみながら、共に学び、成長していくことができます」。コミュニティ参加の初心者の方は、ぜひロードマップ作りから始めてみてはいかがでしょうか。
続いて、コミュニティに入ったきっかけが「RPAの社内プレゼンをすることになったこと」というkinさんはUiPath Friendsの体験談を紹介。「参加しての第一印象は、ひとり参加者が多いことと、司会者や発表者が元気ということでした。それもUiPath社員ではなくユーザーであったことに驚きました」とkinさん。その後、積極的に活動を重ね、ご本人も女子部の運営メンバーに。特に「もくもく会」はkinさんにとって欠かせない場で、情報交換だけでなく、ここでしか知り合えない出会いもたくさんありました。「このコミュニティは私にとって本当に成長できる場。皆さんも、まずは興味のあるイベントをちょっと覗いてください。そうすればもっと参加したくなりますよ」と結びました。
よしやんさんは、未来について語りました。「UiPathが描く未来、A Robot for Every Personは私も好きな言葉。この理想を現実にするために大切な要素は2つ。1つは自動化ノウハウや成功例を知り活かすこと。コミュニティでは、まさに実体験や学びを共有でき、企業イベントではいえない本音も双方向のコミュニケーションがあり、この要素を叶えています。もう1つはテクノロジーの力で変えるということ。テクロノジーは力を与えてくれますが、一人で情報収集を行うのは困難です。コミュニティなら、さまざまな情報や成功事例が自然に集まります。理想を実現する要素が、まさにコミュニティにはあるんです」とまとめました。
ファシリテーターに畠山竜太さん、パネリストに岸本雄太郎さん、木下和磨さん、たかさんの3名を迎え、RPA推進の経験者によるプロジェクトの進め方や苦労談、また課題をどのように解決したかなどをディスカッション。RPA推進に役立つ情報を紹介しました。
まず畠山さんによるRPA推進者つまり「CoE(Center of Excellence)」とは何か。役割や活動内容などの概略を解説の後、各自の活動内容やその効果や反省点などを語っていただきました。
岸本さんは人材サービス企業でエンジニア組織の運営と社内のRPA推進プロジェクトに携わっています。「3年前に社内RPAの見直しを開始。当時は、約220のプロセスが稼働するも複数製品を使用しているため、全体像も稼働状況も掴めていませんでした。そこで稼働を可視化するため1社製品に絞ることを決め、人材派遣業務に求められるものを分析した結果、UiPathがベストだと導入を決定。業務時間の削減だけでなく、やりたくない仕事や他の作業に専念してほしい人の仕事を自動化できました」
木下さんはプログラミング未経験ながら、3年前にRPA推進担当に抜擢。2018年にUiPathを導入しました。「導入初期はプロ開発を並行しながらも、最終的には内製化を目指し社内研修にも積極的に取り組みました。研修では、開発方法だけでなくリスクの存在や対処方法の事例紹介も行いました。ユーザー開発を考慮して、絶対に守るべきルールのみを決めたのも成功のポイントです」
たかさんもプログラミングは未経験ですが2016年にRPAの全社導入を提案し、2年間で300人の市民開発者を育成。「最初からEUC展開を前提に、未経験者でも短期間でRPA開発ができるよう企画しました、人材育成のポイントは3点。1つは素人が素人にわかりやすい研修資料を自前でつくる。2つめは、研修の目的は『RPAが楽しい』『UiPathはすごい』の2点を実感できればいい。3つめは、研修後にRPA推進事務局が3~5台は一緒に開発する。この3つの仕掛けで『誰でも勇気を持って参加でき、楽しいと思って、事務局といっしょにつくるからできる』というサイクルを完成させました」
最後に、全国のRPA推進者に向けてのメッセージをご紹介します。
畠山さん「公開されている良い情報、先駆者の知恵は使えるものは活用しよう!誰にも相談できない孤独な推進者はぜひUiPath Friendsや、もくもく会へ!」
岸本さん「RPA推進は、エンジニアのスキルだけでなく、ビジネスの企画力や推進力も向上させられる非常にやりがいのある仕事!」
木下さん「ユーザー部門やシステム部門との協力が重要。関係者の意見を聞きながら自分も皆もHappyになるRPAの広がりをつくっていきましょう」
たかさん「開発者育成は人材育成そのもの。成長に携われる幸せなCoEは、楽しいことにどっぷり浸れるお得な職種。ぜひ推進者側にも挑戦を!」
高い技術力をもつテクノロジストのうち「A Robot for Every Person ―すべての人にロボットを」の実現に向け、情熱的に情報発信を継続された方を認定するUiPath Japan MVP 2021 (Most Valuable Professionals)。第3期となる今回は、新規認定者2名と更新認定者8名の表彰式が行われました。最初に新規認定者の宮城晋二さんと森田唯さんのライトニングトークの一部をご紹介します。
フリーランスエンジニアとしてRPAの開発支援を行う宮城さんは、週1回のブログ投稿など積極的に情報発信をされています。「RPAは楽しい世界ですが、進化が速いので着いていくには学び続ける必要があります。その点さまざまな情報が得られるコミュニティはRPAと親和性が高く、コミュティを使うとより成長できます。UiPathが他社と異なるのはコミュニティを大事にしている点だと思います。また複雑化・巨大化・進化のスピードが速いと思いますが、ここについては私もどんどん情報発信して自分も周りも自動化を楽しめるように、皆さんに貢献していきたいです」
森田唯さんは自社内のUiPath利用の推進だけでなく、大学生に対してもUiPathを拡げたいと活動されています。「ある時、就職活動中の学生は企業について熱心に調べても、業務の効率化については考えていないのではないかと気づきました。日本の生産性が問われる時代、学生が企業を選ぶ際に『業務の効率化に取り組んでいるかどうか』も福利厚生等の条件と同じくらいに関心をもってもらいたいと思い、活動していきます。学生が企業に入ってRPAの即戦力としてデジタルネイティブの強みを発揮できる、業務を覚えながら効率化の提案ができる、自分で自分の活躍の場を広げられる新入社員が続々と入る、そんな未来をつくっていきたいです」
2020年からの更新者は、岩﨑諒介さん、木野雅富さん、小崎肇さん、塩見潤さん、末武陽一さん、畠山竜太さん、眞鍋忠喜さん、吉田将明さんの8名でした。
最後にプレゼンターを務めた、UiPath株式会社 代表取締役CEOの長谷川は「実は先日、当社公式YouTubeチャンネルにMVPの方々のビジョントークを掲載しました。私は、社員全員に見てほしいと伝え、また経営会議でもその内容を取り上げます。UiPathは日本もグローバルも、常にお客様と寄り添う、そして日本を良くして生産性をあげ、若いデジタルネイティブの方々が活躍できる社会を皆さまと一緒につくっていきたいと考えています」と語りました。
MVPに続いてUiPath Friends運営メンバーの中から、リーダーシップを発揮し、自ら積極的に情熱をもって活動し、コミュニティの成長と発展に貢献された方を「UiPath Friends Lovers」として表彰しました。
1人目は、「チーフ」のハンドルネームで活躍されている、イベントの総合司会も務めた内藤寛之さんです。「僕自身は異業種のホテル業界から転職して、RPAに関わる中でUiPathに出会いました。UiPath Friendsに出会えたことがUiPathを学習するモチベーションとなり、業務に役立つ自己研鑽にもなっています。また運営に関わり情報発信ができていることが自信にもつながっています」
2人目は、コミュニティ経験ゼロから女子部の運営にも積極的に加わってくださった、ムードメーカーでもある神戸絹子さん。「本当に嬉しいです。コミュニティは初めてで何もわからないスタートでしたが、運営メンバーの皆さんが本当にいい人ばかりで、一人で開発していて苦しい時に救われました。わからなくてもコミュニティに来ると救ってくれる人がいますので、私のようにみなさんも参加していただければと思います。表彰を機に新たな気持ちでがんばっていきたいです」
続いて昨年からの継続受賞で殿堂入りをされた方々を表彰。
1人目は、釣谷翔平さんです。“初めてでも運営ができる”運営メンバー向け動画作成プロジェクトをリードし、LT発信のノウハウなども紹介してくださっています。「もともとコミュニティ活動の経験はなく、UiPathについても秀でて詳しいわけではありませんが、継続力には自信があります。今年は新しく運営に参加された方への動画作りなどを継続してきました。賞を頂けたことを励みとし、あらためて頑張りたいと思います」
そして2人目は早川太一郎さん。UiPath Friends 関西の運営リーダーであり、関西ユーザーの横のつながりを築き、地域からの発信の重要性を気づかせてくれました。「私がコミュニティ活動に積極的なのは、UiPathを通じて感じた楽しさや業務改善の意欲に感動し、多くの方とつながり、多くを学んだことへの恩返しです。コミュニティを通じて人とつながることができたこと、私が得た感動を多くの人に体験してもらいたい。そのための土台づくりに貢献できたらなと思っています」
最後は、取締役Chief Revenue Officerの鈴木が感謝の挨拶を述べました。「UiPathのすごさは裾野の広さだと考えています。経理、人事、総務だけでなく事業部門でも使える範囲とそしてIT未経験者でも活用できる広さ。RPAは企業経営に資するソリューションであるが、使う人がダイレクトに効果を実感できる。それが皆さまの愛情や情熱につながるのだと今日のイベントで実感しました。UiPathが日本そして世界中の方々に貢献していくには、情熱をもって情報連携や活動促進がされることが重要です。コミュニティの皆さまと一緒に進んでいきたいと思っています」
表彰式の後は、さらにUiPath Japan MVP 2021メンバーによるテック三昧とオンライン交流会で盛り上がりました。
ユーザーの皆さまが主役になり、情報交換や学び、交流の場となるのがUiPath Friendsです。これからUiPathを始めようと考えておられる方も、どっぷりUiPathに浸ってディープな技術的な情報交換がしたい方も、どなたでもご参加いただけます。ご興味のある方は、ぜひ下記からご参加ください。
詳しくはこちら
Japan, UiPath
Landing Modal Subheadline