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自動化による繁忙期の業務平準化で、職員の働きやすさ向上へ 〜神奈川県庁の事例〜

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ロボットのガバナンスを徹底。RPA活用は、今後の行政の現場に必要な備え

首都東京に続き、人口第2位の神奈川県。約900万人の県民を抱える神奈川県庁では、県庁の働き方を根本的、抜本的に変えるために、2017年2月、神奈川県知事を本部長とする「働き方改革推進本部」を設置。取り組みのひとつとして2019年にRPAとしてUiPathを選定・導入しました。新型コロナウイルスの流行期には、感染者の管理・支援のためのシステム登録作業などで多くの職員が対応に追われましたが、UiPathの活用により劇的に改善した一幕も。自治体がRPAを導入するメリットや、今後の必要性についてご紹介します。

RPA活用で働き方改革を推進。 費用対効果を高める集中管理型――佐々木 健司氏

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神奈川県 総務局デジタル戦略本部室 プロジェクトマネジメントグループ 佐々木 健司氏

導入の背景

「業務効率化にデジタルの力を活用しようという流れの中で、RPAというキーワードに出会いました」と語るのは、UiPathの選定・導入当初から関わる佐々木さん。

2018年に実証事業を行った当時は、自治体へのRPA導入実績はまだ多くありませんでした。県庁での業務にマッチするかを検証するため、最初の自動化のテーマに選んだのは「通勤手当の認定業務」。県の職員は、約4年に1回の頻度で定期人事異動があり、年度当初には、数千人の職員が通勤経路の変更届を提出。短期間で認定する必要があるため、定期人事異動の時期には毎年繁忙期となっていました。この業務への試験導入の結果、RPA活用の可能性が見えたと佐々木さんは語ります。

「神奈川県内は複数の路線が存在し、経路も複雑になるため、通勤経路の確認作業は煩雑なものでした。しかし、最寄り駅・最寄りバス停を探す作業では、地図情報サイトとRPAとがAPI連携することでスムーズに進み、これは他の業務にも展開できると思い、導入を決めました」

導入時のポイント

RPAの本格導入に当たり意識したのは、ただ作業を自動化するだけでなく、担当者が変わっても使い続けられるような仕組みを整えること。そのためには、ロボットを集中管理する「UiPath Orchestrator」の活用が不可欠でした。そこで翌2019年には「UiPath Orchestrator」を選定・導入し、ロボットの実行状況やスケジュールの管理が行えるようにしました。

「別々の部署がそれぞれにロボットを扱ってしまうと、ロボットをつくった担当者の異動や退職などにより、情報システム部門やRPA推進部門が把握・管理していない、いわゆる“野良ロボット”ができてしまうことがあると聞いていました。現在、『UiPath Orchestrator』と『Unattended Robots』を組み合わせて集中管理することで、ロボットをムダなく実行させることができています。導入を検討されている方は、まずはスモールスタートで、と考える方も多いと思いますが、情報セキュリティの担保と費用対効果を考えると集中型をおすすめしたいですね」

新型コロナウイルス流行時に大きく貢献 RPAはまるでRPGのよう!?――吉田 直洋氏

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神奈川県 総務局デジタル戦略本部室 プロジェクトマネジメントグループ 吉田 直洋氏

自動化のメリット

RPAの導入から3年。2021年度は16業務、2022年度は9業務(11月現在)でワークフローを作成し、成果が現れていると言います。実際にワークフローの作成も手掛ける吉田さんは「自動化対象業務の選定基準は、年間で50時間の手作業が削減できるかどうか。これまで選定した業務は、おおむねその基準を達成しています」と語ります。

なかには、年間数千時間の削減を達成した業務も。新型コロナウイルス関連の業務もその一つです。

「Teamという、新型コロナウイルス感染者の情報把握や支援のためのシステムがあるのですが、感染拡大期にはシステムへの入力作業が職員の業務を圧迫していました。例えば、療養者が回復したら、システム上で“治癒”にチェックをし、LINEによる健康観察通知との連携を解除します。1人当たり2分程度の作業ですが、ピーク時には1日の感染者が約20,000人、回復する方が約7,000人という状況。作業負荷は大きなものでした。そこで、RPAによる自動化に取り組んだところ、手作業で行っていた業務が自動化され、大幅な業務効率化を実現しました。職員からは、“RPAがなかったら、徹夜をしても乗り切れていたか分からない”と非常に感謝されました」

ワークフロー作成のしやすさ

「私がこのワークフローを作成したのは、現在の部署に配属されて1年経った時期でした。RPAに関する研修は受けたものの、ほとんど素人の状態。ですが、RPAの運用支援・保守業務依頼先のサポートのおかげで、なんとか形にすることができました。ワークフローの作成は、現在もトライ・アンド・エラーの連続ですが、UiPathはインターネットや書籍などで豊富に情報が得られるので助かっています。

私は、RPAのワークフロー作成はRPG(アール・ピー・ジー=ロールプレイングゲーム)のようだなと感じています。私のように未経験からのスタートでも、経験値を積むことでより強い武器(構文やアクティビティなど)が使えるようになり、業務自動化という課題をクリアすることで職員に喜んでもらえます。ときには難題もあり冒険に終わりはありませんが、その分やりがいもあります。導入を検討されている方は、安心してチャレンジしていただきたいと思います!」

大量の事務処理を、短期間に正確に実行。RPA活用は、今後の行政の現場に必要な備え――岡本 千尋氏

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神奈川県 総務局デジタル戦略本部室 情報企画担当課長 岡本 千尋氏

自動化のメリット

「短期間に大量の手作業が発生する行政の業務に、RPAが役立っています」と語るのは岡本さん。

「神奈川県では、2021年に電子申請システムをリニューアルし、各種申請をスマートフォンから利用できるようになりました。しかし、システムに登録されたデータをダウンロードし、実際の業務に利用するために突合や加工等を行う作業は職員の手作業。手続きの集中する期間、担当部署は残業をして処理をするなど、職員の大きな負担となっていました。

RPAを導入してからは、ロボットが短期間に大量の処理を正確に行ってくれるため、職員は人間の目が必要な確認作業や、県民の方への対応に集中できるようになりました。また、行政の作業は漏れがあると大変なことになりますが、ロボットならミスも起こさず24時間働いてくれるので本当に助かります」

RPA活用推進における課題

多くの職員が働く神奈川県庁。RPAの普及には苦戦することもあるのだそうです。

「“ロボット”という響きから、アニメのキャラクターなどを連想し、作業を間違えるのではないか?と不信感を持つ人もいます。また、RPAを導入するためには一度現状の業務プロセスを見直すことが必要。一時的な負荷がかかるため、腰が引けてしまうことがあるようです。今後の目標は、今自分が行っている業務をRPAで効率化できるということに、気づける職員を増やすことです。」

今後に向けて

「この先、職員が足りなくなる時代が遠からずやってきます。先日参加した全国の自治体が集まる会議でも、人材不足の声があちこちで聞かれました。自治体の魅力をどのように打ち出すかは共通の課題。RPA活用による業務の効率化はアピールポイントの一つであると感じています。また、市町村など小規模の自治体では、RPAの導入が難しいところもあるとは思います。しかし、少子高齢化が進むなかにおいて、長い目で見れば必要な備えであると感じています」

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短期間に正確な処理が求められる行政の業務は、RPAとの親和性が非常に高いと言えます。これからもUiPathでは、人々が自動化によって持てる力を最大限発揮できるような職場づくりをサポートしてまいります。

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