本記事は、UiPathブログ記事「Empowering women in automation: The future of a diverse workforce」の日本語訳です。
著者:UiPath米国コマーシャル営業エリアバイスプレジデント アレクサンドラ・ミルン (写真左端)
さまざまな人種、神経多様性(ニューロダイバーシティ)特性を持つ個人、そして女性を含め、多様な人材の活用は世界中の職場環境を豊かにし、経済成長を牽引し続けています。とはいえ、活用しきれていない潜在的な人材はまだたくさんいます。国際通貨基金(IMF)によると、各国において、女性の就業率を上げることで国内総生産(GDP)を最大8%増加させることができると試算されています。
喜ばしいことに、世界中の素晴らしい女性たちがあらゆる壁を乗り越え、より明るい未来へと道を切り開いてきています。2023年10月に米国ラスベガスで開催されたForward VIのパネルディスカッションでは、このような素晴らしい女性リーダーのうち、オリカ (Orica)社の最高情報責任者 (CIO) レイチェル・サンデル氏(写真左から2番目)、エーオン(AON) 社のバリュー・リアリゼーショングローバル責任者レイラ・デリック氏(写真右端)、UiPathの最高顧客責任者 (CCO) ケリー・デュコーティ(写真中央)、UiPathのチーフ・ピープル・オフィサー (CPO)ブリジット・マッキニス-デイ(写真右から2番目)をパネリストとしてディスカッションする機会に恵まれました。
パネリストたちは、それぞれが自身のキャリアの軌跡を振り返り、オートメーション分野で女性の可能性を最大限に発揮するためのアドバイスなどを話してくれました。
今回登壇した4名のパネリストはいずれも、オートメーション業界内外で増加しつつある女性リーダーのひとりです。実際のところ、大手テクノロジー企業でリーダー的な役割を担う女性の割合は、2019年から2022年の間に20 %近く増加しています。
ブリジットの経験を聞くと、先人の女性たちがどれほどのことを乗り越えてきたかがよくわかります。ブリジットは、大学院卒業後、はじめての就職面接にて、9名の面接官と会いました。そして、なんとその企業の面接官全員が男性でした。彼女は「その職場を非常に気に入っていました」が、「採用面接のプロセスで女性社員に一人も会うことがなかった」ため、就職先候補から外すことにしました。「女性管理職がいない企業で、女性管理職になれる機会がどれだけあるのだろうか」と考えたからです。
ディスカッション中、パネリストたちは、組織がジェンダー平等を推進する方法に関して、さまざまな視点を互いに共有し合いました。サンデル氏は、偏見に気が付いたら、たとえ言いづらくても、偏見を指摘することが非常に大切だと強調しました。
私のアドバイスは、差別や偏見を目の当たりにしたら、それが差別や偏見ではないかと声をあげることです。それが性別や年齢であれ、時として難しかったり、気まずいこともありますが、はっきり声を上げたほうがよいと思います。私の場合、声を上げることができなかったときは、その後しばらくその光景がよみがえってきて、自分は何もできなかったと、考え込んでしまいます。リーダーとして、自分が働きたいと思えるようなカルチャーを作り上げていくことが大切です。
オリカ(Orica)社 最高情報責任者(CIO) レイチェル・サンデル氏
偏見を目の当たりしたとき、勇気を出して声を上げることは、私たち誰もが取り組むべき課題です。職場における多様性がビジネス全体により良い業績をもたらすという一貫した研究結果(後述)がありますし、そうすることで、職場環境や企業がより良いものになります。
多様性推進の取り組みは高く評価されていると同時に、ビジネス上の業績アップとの相関性があります。たとえば、ハーバードビジネスレビュー (HBR)に「ジェンダー・ダイバーシティ・インデックスが10%増加すると、市場価値がおよそ7%上昇するという関連性があった」とあります (英語記事) (日本語記事)。
HBRの別の調査によると、「ダイバーシティを示す6要素(出身国、他の業界で働いた経験、キャリアパス、性別、学歴、年齢)の平均で測定したところ、総合的な多様性が平均以上の企業は、収益に占めるイノベーションの割合が平均19%、税引前利益が平均9%高いことがわかった」とあります。(英語記事)(日本語記事)
数多くの指標が示すように、科学、技術、工学、数学(STEM)業界においては多様性がより大きくなりつつあることが示唆されています。アメリカ国立科学財団によると、「2011年から2021年の間に、STEM業界で働く女性の数は31%増加しました」。さらに、UiPathが発行した「自動化プロフェッショナルの実態調査レポート2023」(英語)によると、自動化プロフェッショナルのうち女性が占める割合は1/4と少ない一方、ロボティック・プロセス・オートメーション (RPA) に関心のある学生のうち、約40%が女性であることがわかりました。
こうした傾向は明るい兆しではありますが、私たちの前には依然として多くのチャンスが眠っていると言えます。
女性の離職率は男性の2倍となっています...ですので、私たちが取り組めること、チャンスはまだまだたくさんあると思います。
UiPath社 最高顧客責任者 (CCO) ケリー・デュコーティ
やるべきことはまだ山積みではありますが、今回のパネリストの4名のように活躍中の女性リーダーの例に習うことは、素晴らしい第一歩といえます。
では、女性が自動化に携わることで、業界に対し、どのように大きな貢献ができるのでしょうか。ここでパネリストそれぞれが推奨していたアドバイスをご紹介します。
今回登壇した登壇パネリストの一人、ブリジットは、戦略的なリスクテイクが成功に欠かせない要素だと話していました。
自分を信じることです。あなたが自分を信じないのに、他の誰があなたを信じるでしょうか。
UiPath社 チーフ・ピープル・オフィサー (CPO) ブリジット・マッキニス-デイ
ブリジットは、ハイリスクではあるが注目度の高いプロジェクトに一貫して自ら手を挙げてきたことで、キャリアの早い段階から高い評価を得ることができました。
「新しいチャレンジへ積極的に立候補していくことは、自分のコンフォートゾーンから抜け出すために常に重要でした。なぜなら、そういった過程こそが成長につながるからです」とサンデル氏も強調しました。
キャリアアップについて考えるなら、自分の周りにスポンサーや仲間を持つことも非常に重要です。デリック氏は、ネットワーク(注:人脈・人とのつながり)を築くだけでなく、それに投資し続けることの大切さを繰り返し強調しました。
社内外の両方にスポンサーがいると感じられる環境に身を置いてください。そして、若いうちから、自分のネットワークを築き上げてください。私は、常にこれを意識して、自分自身のネットワークを持つようにしていましたし、自分のネットワーク構築のために時間や労力を投資してきました。自分のネットワークを常に広げていけるよう、努めていきましょう。
エーオン(AON) 社 バリュー・リアリゼーション グローバル責任者 レイラ・デリック氏
私自身、ネットワークの大切さを身をもって経験しました。UiPathに入社して以来、社内メンバーやお客様から数多くのことを学んできました。仕事を通して得られたこうした繋がりを大切にし、連絡を取り合うことで、さまざまな業界の最新トレンドを常に把握できますし、もし聞きたいことがあれば気軽に連絡を取ることができます。
デリック氏は、他人へのアドバイスと自分自身へのアクションアイテムを「学び、獲得し、還元する(Learn, earn, return)」とまとめました。これは、とてもシンプルな考え方です。まず、キャリアの初期の段階では、自分自身がスポンジとなり、できる限り多くを学びます。そして、ある程度経験を積み成果を上げられるようになると、周囲からの信頼や成功体験を獲得できると同時に、自分自身の生活の質も向上させることができます。最終的に、ベテランとなった際には、若い世代へのメンタリングなどを通じて、今まで得てきたものを若い世代へ還元することに注力していくということです。私はこの言葉がとても気に入りましたので、今後も心に留めておこうと思います。
このようなキャリアにおけるロードマップを持つことで、さまざまな業界の女性たちが、AI搭載のオートメーションの新時代を切り開く上で重要な役割を果たすことができます。
サンデル氏は、今後の自動化において「生成AIこそが、最も有望な発展」と考えています。彼女は、この新しいテクノロジーが自動化の開発速度をさらに加速し、参入障壁を下げていくと考えています。サンデル氏が最高情報責任者 (CIO) を務めるOricaは、生成AIの活用により、「技術的な負債」を減らし、古いコードベースを再構築する方法を模索しています。
さらに、「まずは、女性にこれらの新しいツールを試してもらい、どんどん使って、学んで、スキルアップしてもらいたいと思っています。なぜなら、生成AIの活用は、近い将来ビジネスにおいて不可欠なものになるからです」と熱く語りました。
ケリーにとって、女性が戦略的役割を担うためにできることは、他の女性たちが声を上げられるように励ますことだと言います。彼女は、自身が進行役だったセールス・イネーブルメント・トレーニング後のQ&Aセッションについての話を共有しました。質問があるとマイクに近づいたのは皆男性でした。セッションが終わりに近づいたとき、彼女は「この中に質問のある女性の方はいませんか?」と尋ねました。すると、すぐに、4人の女性が前に出てきました。これは、女性たちがお互いにアクションを取れるように呼びかけ合う素晴らしい例のひとつだと感じました。私たち女性は、それぞれが持つ優れたアイデアを出し合えるよう、互いに励まし合い続けることが大切だと思います。
私自身、このセッションのパネリストの素晴らしい女性たちからとても刺激を受けました。彼女たちの気概、忍耐力、そして献身的な姿勢から、次世代の女性たちもオートメーションやその先の未来をリードし続けていくのだろうと確信させられました。
Partner Marketing Manager, UiPath
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