2024年10月に米ラスベガスで行われたオートメーション業界最大の年次イベント「UiPath FORWARD + TechEd」。7回目の開催となった今回は、「エージェンティックオートメーション」に関連したさまざまな発表が注目を集めました。現地でその模様に直接触れたUiPath Japan MVP(Most Valuable Professional)であるTIS株式会社・矢倉 峻さんに、エージェンティックオートメーションの価値やこれからの期待、イベントへの参加意義などについて聞きました。(後編はこちらへ)
UiPathビジネスパートナーであるTIS株式会社でプリセールス、カスタマーサクセスを担当する矢倉さん。UiPath製品に関して深いナレッジをお持ちで、幅広い技術情報を発信し、UiPathコミュニティで著しい活躍をする「UiPath Japan MVP」に、2年連続で認定されています。MVPはグローバル規模ではコミュニティメンバー約300万人中わずか1132人、日本国内では約2850人*中8人しか認定されていない、まさに「エキスパート中のエキスパート」といえる存在です。2024年11月に開催されたUiPathコミュニティの年次カンファレンスUiPath Friends Festival では、特に日本市場におけるAIのエキスパートとして、ユーザー企業がAIを導入する際の課題などの知見を共有し、高い評価を受けています。(*2024年末時点)
ただ、かつてのご自分は技術ノウハウを外に向けて公開することにあまり積極的ではなかったと、矢倉さんは振り返ります。 「私自身の考え以前に、そもそもSIerは市場をつくることよりも、技術ノウハウを自社で囲い込み、自社の価値としてお客さまに提供することを存在意義に置いていたのだと感じています。しかし、UiPathのようにエンドユーザーが直接触れられるソリューションは、むしろノウハウを広範に共有して市場全体の裾野を拡大していくほうが、お客さまとSIerの双方にとってメリットがあるはずです。このことに気付いて以降、私自身もブログを執筆するなど外部に向けてノウハウを発信するようになりました。」
SIerとして、日々数多くの幅広いユーザーの課題解決の支援、特に専門分野であるAIの導入について多様なユースケース、そして日本特有のAI導入の課題に直面します。 「通常のSIerとしての業務に加え、コミュニティ活動を通じて、日本のユーザーが抱えるAI導入の課題や、様々なユースケースをみることができます。それらの情報を積極的に発信することで多くの人たちとつながり、更に多くのユースケースを見ることができる。特定のベンダーに依存せず、あくまで日本のユーザー視点で技術動向をみることができるSIerだからこその強みだと思います。」
多くの情報発信、コミュニティ活動の結果、現在ではお客さまと接する中で「ブログを読みましたよ」「この間のイベントに登壇していましたよね」と声を掛けられることが増えてきたそうです。
「私自身の知名度が上がることは、個人としてのキャリアアップにつながるだけでなく、所属する会社のプレゼンス向上にもなります。『AI導入といえばTIS』と思ってもらえるよう、これからも「UiPath Japan MVP」として様々な情報発信と、UiPathコミュニティ活動を通じた情報共有をしていきたいと思います。そして、それらの経験や情報を元に、日本企業が『正しく』AI導入できるよう支援していきたいです。」
UiPath が10月のFORWARDで発表した「エージェンティックオートメーション」。エージェンティックオートメーションとは、従来の自動化ソリューションにAI(人工知能)のエージェント技術を融合させ、これまで人の判断に頼らざるを得なかったタスクまでをAIエージェントによって自動化するというもの。UiPathのもつAIプラットフォームにより、業務プロセスを“End to End”で自動化するソリューションです。
「これまでの自動化ソリューションは、主に人が『手』を動かしていた部分を自動化してきたのに対し、エージェンティックオートメーションでは人が『頭脳』を使って判断する部分も自動化できます。頭脳は右脳と左脳からなりますが、右脳に当たるAIに対して左脳であるRPA製品の品質を確立しているUiPathだからこそ、新たな価値のある自動化ソリューションを提供できると思います。現在様々なベンダーがAIエージェントの発表をしていますが、AIエージェントだけ卓越していても、結局人が手を動かすのでは意味がないですからね。そこがUiPathと他のAIエージェントを提供するベンダーとの違いだと思います。」
エージェンティックオートメーションの導入は、業界を特定しない幅広いユースケースが想定できるが、最も効果が期待できるのは、企業の「属人化したプロセス」とのこと。 「例えば、これまで経験値から属人的に判断されていたプロセスについて、若手社員がベテラン社員と同じ質の意思決定ができるようになると考えています。もちろんその過程にはプロセスの棚卸という課題はありますが、労働人口の流動性が低い日本企業が抱える特有な課題に非常に有効と考えています。属人化の解消だけでなく、ベテラン社員の『勘』で行われていたプロセスをデータ化できることで、企業が更に正しい選択ができるようなプロセスが実現できると考えています。」と、AIを融合した自動化がもたらす未来に期待を寄せます。
一方で、現在日本企業が抱えるAI導入に関する課題も指摘します。(後編へ続く)
関連情報
・LinkedIn: https://www.linkedin.com/in/shun-yakura/
・Qiita: https://qiita.com/shuy
・TIS株式会社 RPA業務自動化ソリューション:UiPath https://www.tis.jp/service_solution/rpa_uipath/
・UiPath FORWARD + TechEd: https://www.uipath.com/events/forward
(取材:2024年12月時点の情報です)
Japan, UiPath
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