大量のデータを扱い、情報発信や施策を最適化するデジタルマーケティングの業務では、多くのデータ分析ツールが使用されます。優れたデータ分析ツールが多くありますが、様々なツール上でダッシュボードやレポートを見なければならず、データを有効に活用できていなかったり、施策やメッセージングを最適化したくてもなかなかデータ分析が追いつかない―そんな悩みを抱えるマーケターも少なくないのではないでしょうか。また最近では、デジタルマーケターでも、Pythonなどのプログラミング言語を使ってデータ分析を行うというようなケースも増えてきています。
今回は、デジタルマーケティングのなかでもソーシャルメディア分析の領域で、実際にUiPathのマーケティングチームでUiPathの製品を使い、感情分析(センチメントスコアリング)やトレンド分析などのソーシャルリスニングを行った活用例をご紹介します。
UiPath Robotsを利用して、ソーシャルメディア上に存在する顧客の声を吸い上げ、UiPath AI Fabricで内容を分析してマーケティング施策に生かすことで、毎回プログラミング言語を使わなくても、データ分析やレポーティングの業務にかかる時間を短縮し、マーケティング施策の計画に時間を割くことができるようになります。また、UiPath Action Centerを使い、AI Fabricの分析結果をフィードバックし、学習させ、分析精度を向上していくことができるようになります。
また、UiPath Appsを使って多岐にわたるデジタルマーケティングのレポートを同じダッシュボードに集約すれば、毎回用途ごとに異なるデータ分析ツールにアクセスし、ダッシュボードやレポートを見て分析するといった手間を省き、すべてのデータを同じ場所で見ることができます。
RPAとAIを使ったソーシャルリスニングの構成
AI Fabricは、多種多様なAI学習モデルを複雑な操作なく、誰でも簡単に利用できるプラットフォームサービスです。ドラッグ・アンド・ドロップで学習モデルを活用でき、従来のRPAだけでは自動化できなかった業務も、RPAとAIを組み合わせて活用することで、簡単に自動化できるようになります。また、RPAのワークフローにAIモデルを組み込むことで、情報収集からレポーティングまでの一連の業務を、連続して自動化することができます。
AIモデルは、大量のデータを与え、結果をフィードバックすることで、学習し精度が向上していきます。AI Fabricで使用する学習モデルも、繰り返し利用しながら、Action Centerを使ってフィードバックを重ねることで、学習が進み、精度が向上していきます。
パッケージで提供される一般的なソーシャルリスニングのツールでは、センチメントスコアがあまり正確でなかったり、無関係なキーワードを拾ってしまうというといった限界がよくありますが、AI FabricとAction Centerの連携で、AIモデルを学習させていくことによって、このような不正確な結果をフィードバックし、使うごとに精度を上げていくことができるので、業務に本当に必要なデータ分析が行えるようになります。実際に業務に携わるメンバーが関連性や分析精度などについてフィードバックを返し、学習させて精度を向上できることが、AI Fabricを使うメリットの一つでもあります。
AI FabricとAction Centerの学習サイクル
はじめにUiPathの自動ロボットが、SNSやWebニュースなどに掲載されている「RPA」「UiPath」に関連するツイートや記事を自動で収集します。次に、AI Fabric上で動くAIのモデルが、それぞれのテキストの感情分析(センチメントスコア―ポジティブかネガティブかの分析)をランク付け、またキーワード抽出し、トレンド分析を行います。
今回はポジティブ度合いが高いコメントから順にランク5~0に分けています。
大変有意義なイベントでした!また次回もぜひ参加したいです : ランク5
技術不要で自動化。RPA(Robotic Process Automation)とは?: ランク3
AI FabricにあるAIのモデルはドラッグ・アンド・ドロップで誰でも簡単にUiPathのワークフロー内に組み込むことができ、コーディングなどは一切不要です。
ワークフロー内のAIモデル(MLスキル)
ロボットが取得したツイートを、AI Fabricにあるテキスト感情分析モデルが、ポジティブかネガティブかを判断し、自動で分類してくれます。Action Centerを使って、センチメントスコアのフィードバックを続けていくと、AIモデルが学習し、さらに精度の高い感情分析ができるようになります。
続いて、上記のような分析データをグラフやワードクラウドなどで可視化し、レポートを作成して通知する一連の業務を自動化します。
レポーティング機能は従来のRPA同様、様々な発信形態が選べます。決まった日時に自動でメールを送信したり、PowerPointのファイルやcsvファイルに書き出して定期的に別名を付けて保存したり、と用途や業務プロセスによっていろいろな方法でレポーティングをすることができる柔軟性も、UiPathを使うメリットです。
UiPathのマーケティングチームでは、業務で中心的に使用しているSlackにコメント集計結果をリアルタイムで投稿する仕組みをつくり、社内共有を効率化しました。ソーシャル分析のためにわざわざ別のツールを開かなくても、普段業務で使っているシステムやアプリケーションでレポートを見ることができます。
AIをRPAのワークフロー内に組み込むメリットは、AIの処理工程後の後続自動化処理にスムーズに移れることです。今回のマーケティング業務における後続処理はレポート作成ということになりますが、この例ではAppsを使い、ロボットが自動作成したレポートをダッシュボード表示しました。Appsを使用すると、レポート条件を容易にカスタマイズすることができ、レポートのグラフ表現なども柔軟に設定することができます。
UiPath Appsで作成したSNS/Web分析ダッシュボード
センチメントスコアリング(感情分析)のグラフ
Twitterから収集した関連ツイートの感情分析をおこない、グラフ化したレポートです。業界全体や、競合他社、関連業界のツイートなど、様々なデータを収集して集計・分析することができます。顧客満足度や、新製品発表に関する反応などを、即座にキャッチすることができます。ネガティブなツイートを発見した場合、メールなどで関係部署に通知し対応を促すといったプロセスにすることも可能です。
トレンドのキーワードをワードクラウドで表示
指定したキーワードを含むツイートで、今どんなことが話題になっているか? をワードクラウドのかたちに可視化したレポートです。最近のキャンペーンが話題になっているかどうか、普段と異なるキーワードがあがっていないか、などをひと目で確認することができます。
分析結果のリアルタイム通知
Slackやメールなど、普段コミュニケーションに使っているツールにリアルタイム通知を送ることで、社内共有やアラートを簡素化します。社内の他部署で対応すべきツイートが見つかった際に、該当部署に連絡するといったことも容易にできるようになります。
本ブログでは、UiPathの社内での活用事例として、RPAやAIを使ったソーシャルメディアマーケティング業務の自動化をご紹介しました。近年ソーシャルメディアの広がりなどからマーケティングのチャネルが多様化し、刻一刻と変化する顧客の声に耳を傾けながらデータに基づく意思決定することが求められる中で、より目的に沿ったデータ分析を即座に行い、素早くマーケティング施策に生かすことが重要になってきています。
RPAやAIを使うことで、Pythonなどのプログラミング言語やソーシャルリスニングツールを使った分析を行わなくても、大量のデータを処理し分析することができるようになります。UiPathのワークフローにAIを組み込むことで、データ収集からデータ分析、分析結果の可視化、レポート作成、通知、など一連の業務が自動化できます。
また、範囲をソーシャルリスニングから、デジタルマーケティングの更に広い領域に拡大すれば、すべてのデータを集約し、同じダッシュボードで確認し、データの突合などに割く時間を省きながら、データ分析に時間を割くことができるようになります。
UiPath AI Fabric上には、ご紹介したテキスト分析以外の多種多少なAIモデルがあり、容易に実装することができます。是非、みなさまもRPA×AIによる業務自動化を体験してみてください。
UiPath AI Fabric は無料でトライアルいただけます。利用方法などはぜひ下記のブログをご覧ください。
Japan, UiPath
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